労災認定とは、労働者の業務中または通勤中の負傷、疾病、障害、または死亡について、労働基準監督署がこれらを「業務災害」「通勤災害」であると認定することを指します。この認定を受けることで、労働者には会社が加入している労災保険からの給付を受ける権利が発生します。労災保険は、様々な補償を通じて被災労働者とその家族の生活を支える重要な制度です。
労災が認められることで受けられる給付
労災が認められると、以下の給付を受けることができます。
療養(補償)給付
労災の療養補償給付は、労働者が業務中または通勤中に発生した傷病について、指定医療機関等で無料で治療を受けられる、あるいは指定医療機関等以外の医療機関等での治療費を全額支給してもらえる制度です。これにより、被災労働者は自己負担なしで治療を受けることができます。
休業(補償)給付
労災の休業補償給付は、労働者が業務中または通勤中に発生した傷病によって働くことができず賃金を得られない場合に、その第4日目からの期間の収入を補償してもらえる制度です。これにより、労働者は収入を確保しながら治療に専念することができます。
傷病(補償)年金
労災の傷病補償年金は、業務中または通勤中に発生した傷病が療養開始後1年6か月を経過しても治らず、その傷病の程度が一定の傷病等級に該当する場合に労基署の職権で支給される年金です。これにより、長期間にわたる療養が必要な労働者の生活を支援します。
障害(補償)給付
労災の障害補償給付は、労働者が業務中または通勤中に発生した傷病が原因で、治癒したときに一定の障害が残った場合に支給されるものです。この給付は、被災労働者の生活の安定を図り、障害による経済的な影響を軽減することを目的とする制度です。
遺族(補償)給付
労災の遺族補償給付は、業務または通勤が原因で労働者が死亡した場合に、その遺族に対して支給される遺族補償年金と遺族補償一時金を指します。これらの給付は、亡くなった労働者の家族の生活を支えることを目的とする制度です。
葬祭料(葬祭給付)
労災の葬祭料は、業務または通勤が原因で死亡した労働者の葬祭を行った場合に、遺族に対して支給されるものです。この給付は、葬儀費用をカバーするために支給され、労働者の死亡による遺族の経済的な負担を軽減することを目的とする制度です。
提出が必要な書類
労災保険は、給付の内容ごとに必要書類が定められています。それぞれの労災申請に際し必要な書類は以下の通りです。
労働者死傷病報告書:事業主が作成。
療養補償給付請求書(様式第5号): 業務災害により労災指定病院等で受診し、療養補償給付を請求する場合。※労災指定病院等以外で受診した場合は様式第7号
療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3):通勤災害により労災指定病院等で受診し、療養給付を請求する場合。※労災指定病院等以外で受診した場合は様式第16号の5
休業補償給付支給請求書(様式第8号):業務災害により休業補償給付を請求する場合。
休業給付支給請求書(様式第16号の6):通勤災害により休業給付を請求する場合。
傷病の状態等に関する届(様式第16号の2):療養開始後1年6か月を経過しても傷病が治っていない場合。
障害補償給付支給請求書(様式第10号):業務災害により障害補償給付を申請する場合。
障害給付支給請求書(様式第16号の7):通勤災害により障害給付を請求する場合。
遺族補償年金支給請求書(様式第12号):業務災害により死亡した労働者の遺族が遺族補償年金を請求する場合。
遺族補償一時金請求書(様式第15号):業務災害により死亡した労働者の遺族が遺族補償一時金を請求する場合。
遺族年金支給請求書(様式第16号の8):通勤災害により死亡した労働者の遺族が遺族年金を請求する場合。
遺族一時金支給請求書(様式第16号の9):通勤災害により死亡した労働者の遺族が遺族一時金を請求する場合。
葬祭料請求書(様式第16号):業務災害により死亡した労働者の遺族が葬祭料を申請する場合。
葬祭給付請求書(様式第16号の10):通勤災害により死亡した労働者の遺族が葬祭給付を請求する場合。
これらの書類は、厚生労働省のホームページや労働基準監督署で入手することができます。正確に記入し、必要な添付書類とともに提出することが重要です。