仕事中に負った怪我について、「自分のミスで起きた怪我だから、労災にはならない」と思い込んでいませんか?実際には、そのようなケースでも労災として認定される可能性があります。
多くの労働者が、自分に過失があると感じて労災申請を諦めてしまうことがありますが、労災保険制度は労働者を保護するために設けられたものであり、業務中の事故であれば自分の過失があっても認定される場合もあります。
本記事では、ご自身の過失を理由に会社や弁護士への相談を躊躇している方に向けて、労災認定の仕組みや会社の責任についてわかりやすく解説します。
自分のミスによる怪我でも労災認定される理由
労災は、業務や通勤中の事故による怪我や病気を補償する制度です。
ここで重要なのは、事故が「業務に起因しているかどうか」という点です。
労働者自身のミスが直接の原因と思える場合でも、それが業務の遂行中であれば労災の対象となります。
たとえば以下のようなケースは、労災認定される可能性があります。
機械操作中にスイッチを間違えて押して手を負傷した
作業手順が複雑だったり、安全装置が不十分だったりする場合、事故が個人のミスだけでなく業務上のリスクとして認定されることがあります。
作業中に足を滑らせて転倒して怪我をした
足場が滑りやすい、作業エリアが適切に整備されていないといった状況では、会社が安全配慮義務を果たしていない可能性があります。
荷物を運ぶ際に無理な体勢をとって腰を痛めた
業務内容そのものに無理がある場合や、十分な作業指導が行われていなかった場合も労災に該当します。
これらの例から分かるように、労災認定は「業務上の災害」であることが基準となり、個人の過失が問われるわけではありません。
労災隠しにも注意
労災事故が発生すると、会社側が労災認定を避けるために事故を隠蔽する「労災隠し」が行われることがあります。
これには、会社が負担する労災保険料の上昇を避けたい、事故件数を表に出したくないといった理由があります。
労災隠しの例
・事故を業務外の怪我として報告するよう指示される。
・労災申請を妨害し、「健康保険で治療するように」と言われる。
・会社が労働基準監督署に対する事故の報告を怠る。
労災隠しは法律で禁止されており、労働安全衛生法に違反します。
また、仮に会社が協力しない場合でも、労働者自身で労働基準監督署に直接申請することが可能です。
このとき、手続きにご不安な点があれば弁護士のサポートを受けることで円滑に進めることができます。
会社に責任がある場合
労働者のミスに見える事故でも、実際には会社の責任がある場合があります。
たとえば以下のような状況が原因で事故が発生することがあります。
設備の老朽化や不備
古い機械やセンサーが正常に作動していない状態で作業をさせられていた。
作業環境の安全性不足
作業場の床が滑りやすい、照明が不十分など、環境が適切でなかった。
安全教育の不足
作業手順や危険を防ぐ方法について十分な教育が行われていなかった。
同僚のミスによる事故
チームでの作業中に、他の従業員の不注意が原因で怪我をした。
これらはすべて、会社の安全配慮義務違反に該当する可能性があります。
安全配慮義務とは、会社が労働者に安全な環境を提供する法的責任のことを指します。
もしこれに違反している場合、会社に対して損害賠償を請求することができます。
ただし、労働者自身にミスがある場合には、「過失相殺」により、損害額が調整されることもあります。
過失相殺とは、労働者側にも過失があった場合に、その割合に応じて損害賠償額が減額される制度です。
そして、以下のとおり、労働者に大きな不注意があった場合には、過失相殺により大きく減額となる場合もあります。
例えば、狭い建設現場において、
土砂をパワーショベルでダンプカーに積んでいる最中に、労働者がパワーショベルの旋回範囲に立ち入り、その狭い場所内の水道口で飲水していたところ、
同ショベルが接触した事案において、裁判所は労働者に5割の過失を認めています(名古屋地裁昭和46年12月20日判決)。
また、高所における作業において命綱を用いるように指示され、労働者自身も高所作業での危険性を認識し、命綱を携行していたにも関わらず、再三の指示に反して、命綱を着用・使用しなかったため墜落して被災した事案において、裁判所は労働者に7割の過失を認めています(札幌高裁昭和50年3月27日判決)。
会社に相談しても解決しない場合は弁護士に相談を
労災に関する手続きは複雑であり、会社が協力的でない場合は、特に困難を伴います。
そのような状況では、弁護士に相談することをお勧めします。
当事務所では、労災問題に精通した弁護士が以下のサポートを提供しています。
・労災申請や労働基準監督署への対応方法のアドバイス
・証拠収集の支援や必要書類の作成
・損害賠償請求の手続き
札幌駅徒歩5分(札幌駅前本部)、吉祥寺駅徒歩2分(吉祥寺駅前オフィス)の好立地に加え、初回相談料無料、オンライン相談にも対応しております。
道内全域、多摩地域を中心に労働者側から多くのご相談をいただいており、一人ひとりの状況に合わせたサポートを行います。
まとめ
自分のミスによる怪我であっても、労災が認定される可能性があります。
さらに、会社の安全配慮義務違反があれば、損害賠償を請求できるケースもあります。
「自分のミスだから」と諦めず、まずは専門家に相談してください。
弁護士法人リブラ共同法律事務所では労災に関する初回相談を無料で受け付けております。
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